- 2018年12月
- 東京都
- 1日間
ES
私は魚介類筋肉のアデニル酸代謝酵素を研究しています。筋肉から数種類の酵素を単離し、それらの酵素を用いて実験系を構築することで筋肉中での代謝を調べています。この研究を通して、赤身魚と白身魚で性質が大きく異なっていることを体感し、種によって多様な性質を示す水産生物が面白いと思ったためです。
興味がある課題は、「魚肉でみられる鮮度低下」です。現在までにその防止策として、漁獲してから低温で輸送から貯蔵までを行う技術が向上されてきました。しかし、魚介類は種によって肉質劣化の起こりやすさが異なっています。そこで私は、低温で扱うだけでなく、肉質劣化の生化学的メカニズムを解明することにより改善したいと考えています。日本人が好んで食べるマグロでは、鮮度の良い高級寿司屋で提供される時点でpHが6.0以下に低下しているといわれています。このようなpHでは、すでに酸化が進んでしまっています。pH低下により、肉質が劣化(酸敗)するのは、特に赤身魚で報告されており、ブリやサバ、サンマなどでも酸敗が起こってしまいます。このような酸敗メカニズムを研究するために、養殖の進んでいる赤身魚で研究を進め、他の魚に応用していけば多くの水産物を無駄なく利用できるようになるのではないかと考えています。
自分の専門と非常に近い企業であるため、研究内容の説明を簡潔にしすぎないように心掛けた。