創業115年を迎えた第一生命グループ。そのシステム会社である第一生命情報システム株式会社（DLS）は、システム開発からシステム運用まで幅広い業務を担当し、同グループのIT戦略全般を支えている。同社の強みはどこにあり、他のシステムインテグレーターとどう違うのか、そしてどのような人財が求められているのか。同社の取締役常務執行役員経営企画部長の神田康弘氏に話を聞いた。

―御社の特徴はどこにあるのでしょうか。

神田　ユーザー系システム会社はたくさんありますが、当社は一貫して第一生命グループを中心にそのIT戦略を担ってきました。当社の強みは、第一生命の長い歴史において、自社システムの“ホワイトボックス化”にこだわる“仕事のスタイル”にあります。言い換えれば、安易に外部のビジネスパートナーに委託するのではなく、入社後一定期間は、担当するシステムの中身をしっかり理解してもらうまで、新入社員をとことん育成するということです。

―“ホワイトボックス化する仕事のスタイル”とは、どのようなことでしょうか。

神田　当社の若手社員には、入社後一定期間プログラミングを中心とした実装経験を積んでもらうように育成しています。自分の手を動かすことでシステムの中身がどうなっているかをまずは理解できるように人財育成カリキュラムを工夫してきました。これからの生命保険業界は、ITを活用した新しい商品やサービスの開発により、ビジネスイノベーションを起こしていく人財が求められており、当社社員に対する期待が年々高まってきています。ITが生命保険ビジネス≒システムに適応することができるのかという目利きも、技術的な経験があってシステムの中身にも精通していて初めてできることだと考えています。

変わらないものと変わるものを見極めて対応する

―生命保険業界は事業環境が大きく変化しています。それにどう対応していくのでしょうか。

神田　変わるものと変わらないものに分けて対応することが重要だと考えています。生命保険のビジネスは息の長いビジネスです。お客様とのお付き合いが30年以上になる保険商品も珍しくありません。長期的な視野に立って、お客様の情報を守る高いセキュリティが求められます。これらは変わらない部分です。

　一方、変わる部分は多種多様な領域に及びます。生命保険ビジネスはどんどんデジタルにシフトしています。紙はデジタル化され、契約手続きはワークフロー上で処理されるようになりました。そして今ではビッグデータを活用して、AI（人工知能）でさらに業務を効率化したり、お客様に高付加価値なサービスを提供するというフェーズに入っています。当然、こうした変わる部分に迅速に対応していかなければなりません。

―そこではどのような人財が求められるのでしょうか。

神田　これからのIT人財にはITスキルだけでなく、ビジネスのアイデアが求められます。より頭を使う仕事にシフトしていく中で、ITを使って何かを変えたいと考え、それを実現できる人財が求められています。

個人の夢や理想をかなえるために活躍できるフィールドを用意したい

―御社ではどう人財を育てていくのでしょうか。

神田　当社の教育体制は充実していると自負していますから、入社時にはITのスキルは特に必要ありません。文理比率もほぼ同じです。入社して3〜4年目までは配属された部署で実装経験を積んでもらいます。

　生命保険のシステムといっても様々です。生命保険の営業を支援するシステムや保険金の支払いに関するシステムはもちろん、生命保険会計や資産運用に関するシステムもあります。また、全国津々浦々まで張り巡らされたネットワーク、800万人以上の契約者情報を管理するデータベースなど極めて多種多様です。

　実装経験を積んだ後は、大規模開発のプロジェクトマネージメント、高度なIT専門技術者、生命保険システムの設計者など、適性に応じて選択肢が広がっていきます。

―どのような学生に来てもらいたいのでしょうか。

神田　ITの世界は技術進歩のスピードが速いです。そのような環境で大事なのが、自ら考え、自ら行動することです。新しい技術を教えてほしいという受け身の人ではなく、「新しい技術を使ってこんなことをしてみたい」と考え、アクションを起こせる人です。そういう意味で、夢や理想を持っている人に来てほしいですね。会社としてもその夢が実現できるフィールドを用意していきます。意欲を持った社員へのスキルアップ支援や投資は惜しみません。それが会社を強くすることだと信じているからです。

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