取り組んでみたい研究テーマは、さまざまなデータに基づく意味解析と情報推薦である。これまで Microsoft Research および Yahoo! 研究所でウェブ検索クエリログ・クリックスルーログを用いた意味解析に取り組んできたが、現実の問題は自然言語処理技術だけでは解決できない問題が多い。そこで、自然言語処理に加え、個々人の行動をログデータからマイニングすることにより、ユーザの嗜好や価値観を反映した意味解析・情報推薦が可能になる。また、情報端末としての携帯電話の活用において、インタフェース上の理由により大量の情報を入力・表示できないといった制約から、今後位置情報などのコンテクスト情報を用いた情報推薦のニーズが高まっていくと予想され、NTT で提供されている検索・ブログなど多様なサービスのログデータを用いることで他社より優位に立てると考えられる。そして、かな漢字変換を研究・開発している経験から、変換ログデータを活用した情報検索とかな漢字変換の統合にも取り組んでみたい。将来的には筋萎縮性側索硬化症(ALS)など後天的にコミュニケーションを取ることが困難になった人を対象に、最小限の入力でユーザの意図を推測して入力(検索)できるシステムに発展させていきたい。